外来語研究における意味分析 : 「ムード」と「雰囲気」の類義分析による事例研究

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タイトル別名
  • ガイライゴ ケンキュウ ニオケル イミ ブンセキ ムード ト フンイキ ノ ルイギ ブンセキ ニヨル ジレイ ケンキュウ
  • Semantic Analysis in research of loan words : A case study in synonymy of mudo(mood) and fun'iki

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抄録

日本語は外来語の数が豊かであり、語彙全体における比重が高く、重要な役割を果たしている。外来語に関する先行研究も非常に活発になされてきたが、特に心理・社会的側面等から論じられることが多かった。しかし、外来語の研究が語彙の研究である以上、意味論的考察も重要な位置を占めなくてはならない。意味論的にみると、外来語とは必ずしもそれ以前から日本語の語彙の中に存在していた和語や漢語の単純な置き換えではない。本稿は外来語の意味的研究の一事例として、外来語「ムード」の意味特徴を漢語「雰囲気」との対比において明確にする。分析の結果、両語はそれぞれ次のような意味特徴を有していることを明らかにした。  「雰 囲気」の意味特徴:ある対象の、その部分の総和に還元できない全体から感じとられる性質。  「ム ード」の意味特徴:ある対象の、その部分の総和に還元できない全体から感じとられる、人間の情緒や感情に由来する性質。 すなわち、外来語「ムード」は他とは決して同一ではない独自の意味特徴を有し、その点に語彙における存在意義があることがわかる。

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