ラダーク山地社会における農林牧複合の農業形態と土地利用の変容

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タイトル別名
  • Land Use and its Transition in an Agro-Silvo-Pastoral System of a Ladkhi Village, Jammu & Kashmir, India

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抄録

山地における農業形態は垂直的な環境変化を利用した農・林・牧の複合形態であることが報告されてきたが, 近年は社会経済状況の変化によって垂直性に基づく土地利用形態も変化しつつある. 本研究では, インド北西部ラダークの村落を事例に詳細な土地所有や農業経営に関する資料に基づいて農業形態の変化に関する考察をおこなった. ラダークの村落では, 就労や就学を目的として, 若者世代の中心都市レーへの移住が著しく進んでおり, それによって村落の過疎化が生じていた. また, 低地インドから安価で移入される穀物によって主食であったオオムギ栽培の意義は低下しており, オオムギ栽培を軸とした垂直的な農林牧複合経営も衰退しつつあった. これらの変化に対してインダス川支流の下流部に位置する村落では, 中心都市レーや軍キャンプに販売するための野菜や果樹の集約的な生産をおこなうことによって, 農業から現金収入を得る形態を構築しつつあった. 一方で, 上流部に位置する村落では栽培できる作物や樹種が限られるなかで新たな発展の方向性を模索する途上であった. 人びとは, 新たな社会経済状況のなかで新たな農業や土地利用の形態を模索しているが, そういった場面でも垂直的に変化する自然環境は大きな制約要因となっており, 発展の方向性に大きな影響を及ぼしていた.

収録刊行物

  • ヒマラヤ学誌

    ヒマラヤ学誌 14 102-113, 2013-03-20

    京都大学ヒマラヤ研究会・京都大学ブータン友好プログラム・人間文化研究機構 総合地球環境学研究所「高所プロジェクト」

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390572174793404160
  • NII論文ID
    120005466246
  • NII書誌ID
    AN10392447
  • DOI
    10.14989/hsm.14.102
  • HANDLE
    2433/186149
  • ISSN
    09148620
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • IRDB
    • CiNii Articles
    • KAKEN
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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