北方落葉広葉樹林における林冠木種の若木の樹冠の動態と維持

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  • Dynamics and maintenance in crown of saplings of canopy trees in a northern deciduous hardwood forest
  • ホッポウ ラクヨウ コウヨウジュリン ニ オケル リンカンボクシュ ノ ワカギ

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抄録

落葉広葉樹林の閉鎖林下における4林冠木種の若木について, 単木当りの着葉量と樹高の関係を調べた。着葉量はいずれの樹種も樹高4m程までは指数関数的に増加したが, 4m以上の樹高では樹高にかかわらず一定化し, 増加相と定常相が存在した。被陰下において単木がつけられる葉数には上限があることを示していた。ミズナラとヤチダモの樹冠の基本単位である芽や当年シュートの構造と動態を調べた。当年生シュートは5cmを越えるものは殆どなく小型化していた。芽の活性率は, ミズナラが35%程度, ヤチダモが20%とかなり低かった。シュートの伸長は, 5月末から6月初めに始まり, 6月下旬から7月初めに停止し, 約1ヶ月で成長を完了した。一つのシュートの芽の生産率は, いずれも6個程度であり, 実際に伸長する芽の数は1 - 2個と極めて少なかった。個体当りの当年生シュート数は, 経年的には有意な差がみられずほぼ一定していた。落葉広葉樹林の閉鎖林下において定常相に達した林冠木種の若木は, 樹高成長を抑え被陰下において効率的な生産を行う上で有利と考えられる傘型に樹形を変えるとともに, 非同化器官の増加につながる基本単位のサイズや数を増加させることなく維持していることが明かとなった。

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