田上山クロマツ砂防造林地における樹木の天然更新とその制限要因

書誌事項

タイトル別名
  • Effects of Site Conditions on Natural Regeneration in a Pinus thunbergii Plantation on Mt. Tanakami
  • タナカミヤマ クロマツ サボウ ゾウリンチ ニ オケル ジュモク ノ テンネ

この論文をさがす

抄録

滋賀県田上山の20年生クロマツ砂防造林地に様々な地形を含む調査区を設置し, 天然更新した22種の樹木の空間分布と生育地の立地条件の空間分布を測定した。個体の空間分布様式には, ほとんどの樹種で集中斑が認められたが, 集中斑の大きさや分布様式は樹種ごとに大きく異なった。各樹種の小枠ごとの出現個体数を目的変数にとり, 個体の空間分布を説明する変数に, 光条件として相対照度, 水分条件として土壌含水比, 種子供給条件として母樹からの距離の3つをとり, 重回帰分析を用いて, 樹種ごとの分布の制限要因と樹種間の更新特性の違いを検討した。クロマツとアカマツの分布は, 土壌含水比と負の相関, 相対照度と強い正の相関を示し, 明るく乾燥した立地により多く出現することが示された。コナラの分布も土壌含水比と負の相関がみられた。この3種を除くと, 土壌含水比と明らかな負の相関を示した樹種はなく, 土壌含水比と正の相関が高い樹種ほど相対照度との正の相関が強い傾向が認められ, 湿潤な立地に分布する樹種ほど光条件のよい立地に分布することが示された。鳥散布型の種子を持つ樹種の分布は母樹からの距離と相関関係がなかったが, 重力散布型や風散布型の種子を持つ樹種や根萌芽をする樹種では, 母樹からの距離と負の相関があり, 母樹を中心に稚樹の更新が進んでいることが確かめられた。

収録刊行物

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

詳細情報

問題の指摘

ページトップへ