傷害心材の形成による微量元素分布の変化

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  • Changes of the Distribution of Trace Elements in the Formation of Wound Heartwood.
  • ショウガイ シンザイ ノ ケイセイ ニ ヨル ビリョウ ゲンソ ブンプ ノ ヘ

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抄録

スギ (Cryptomeria japonica D. Don) とミズナラ (Quercus mongolica var. grosseserrata) の樹幹に成長錐で穿孔処理を施し, 傷害心材の形成に伴う微量元素の分布の変化を調べた。各樹幹には穿孔に沿って着色部が表れた。着色域は穿孔に沿って軸方向に広がり, 辺心材境界では10cm以上にも達したが, 接線方向には5mmまでにすぎなかった。傷害部周辺の組織中の6元素 (Na, K, Mg, Ca, Mn, Cl) を中性子放射化分析法で分析した。辺材部では着色部の広がりとともに元素含量の変化がみとめられ, ミズナラでは心材部においても変化した。それらの変化の多くは正常材の辺心材境界付近で観察されるものと同様のものであったが, スギのNaやミズナラのMnのような例外も存在した。傷害によって起こった微量元素含量の変化は心材形成時の変化とまったく同一のものとはいえないが, 一般に認められている傷害心材と通常心材との類似性から判断すると, 本研究の結果は心材形成に微量元素が関わっていることを示すものと言えよう。

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