エリート実業家の社会的ポジションと「高等遊民」問題

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  • エリート ジツギョウカ ノ シャカイテキ ポジション ト 「 コウトウ ユウミン 」 モンダイ

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明治期に諸会社を創立した実業家には、若者向け「成功書」のライターや口述者として活動した者が少なからずいる。彼らの成功譚・経歴譚が読まれた背景には、実業での成功を目指す「実業青年」が明治期半ば以降に増加したという事実がある。ただし、彼らの言説に一定の需要があった点については、「高等遊民」の増加という当時の社会問題が密接に関係していたことを忘れてはならない。彼らの語りは若年層の高等教育志向や苦学志向を諫め、彼らを実業の世界へと誘った。ただし、大会社による高学歴社員の採用が進むなかで、彼らの語りは自己矛盾と時代錯誤に陥っていった。こうして言説を介した経営者と若年層との協働関係が破綻に向かったが、このことは大正期半ば以降に富裕な経営者たちに対する批判的思潮が過激化した一因となったのではないだろうか。

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