鶴舞公園のなぞの石

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タイトル別名
  • Stones with engraved marks and wedge holes in Turuma Park, Nagoya

抄録

鶴舞公園には「なぞの石」など,刻紋や大型の矢穴痕(切り口長さ9cm以上)に特徴づけられる石材が存在する.大型の矢穴は木製の矢を使用した痕跡であり,大規模な城郭が集中的に建設された16世紀末から17世紀始め短期間に限って出現する技法である.刻紋の有無や石材切り出しと加工の観点から,なぞの石,刻紋石1,刻紋石2,矢穴石1,矢穴石6,表面加工石の計6石材を名古屋城普請時の残石と判断した.鶴舞公園の敷地は,精進川を新堀川に付け替える工事で出た凌渫土砂で,田を埋め立てて造成された.名古屋城普請時の残石は,公園完成後に修復あるいは新設された,胡蝶ヶ池・秋の池・菖蒲池やその近くに分布している.凌渫土砂に混ざって精進川から運ばれ,土砂の下に意図的に埋められたものが,後の工事で掘り出されて利用された可能性が高い.鶴舞公園に名古屋城普請時の残石が多いことは,大量の石垣用石材が精進川を遡って運搬されたことを示唆する.

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