Females and Songs in the Rituals of the Iu Mien (Yao) in Northern Thailand

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  • 07 タイ北部、ユーミエン(ヤオ)の儀礼における女性と歌謡

Abstract

タイ北部の山地民族ユーミエン(Iu Mien)社会に新たな宗教現象が生じている。これまで移住生活を続けてきたユーミエンの定住化に伴って「初めての」固定的祭祀施設〈廟〉が複数の村落で建設されている。その〈廟〉における儀礼を司祭する者として女性シャマンが出現した。単に儀礼の場に参加するだけでなく、女性が儀礼司祭者となっているのは、従来のユーミエン社会には見られない現象である。この女性シャマンに神降する神は、〈盤王〉〈唐王〉以外は主に口承伝承で伝えられてきた神々であり、従来の儀礼の経文による祭祀対象の神とは異なる。女性シャマンは〈歌〉によって儀礼を司祭している。これは、従来の男性中心主義的な儀礼が男性祭司による読経ないし経文暗誦であったのとは大きく異なり、ジェンダーの壁を越えて女性シャマンが儀礼を司祭する道を開いた。ユーミエンの歌は日常会話で使う口語と異なる文語を用い、歌唱法も複雑である。その歌唱法のうちのコン・ヅゥンが、女性シャマンが多く用いている歌唱法であった。女性シャマンが司祭する儀礼は、個別クライアントの需要に応じた治療儀礼、厄祓い儀礼、開運儀礼がもっぱらである。これらの〈廟〉の建設、女性シャマンの登場、口承伝承による祭神、歌による儀礼司祭といった特徴は、従来の儀礼には見られなかった特徴であり、その点で従来の男性中心主義的な儀礼群と補足的関係にある。

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