ダンス必修化の意義を問う ―武道必修化との関連に着目して―

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  • Questioning the Significance of Dance as a Required Subject in Junior High P.E. Classes : A Focus on Budo as a Required Subject

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抄録

AA12185033

近年の注目すべき教育現場における動向として、「(中学校保健体育)武道・ダンス必修化」の問題がある。拙稿では、ダンス教育の2つの側面である「身体規律」と「心身の解放」に着目して、ダンス必修化の意義を問い、教育におけるダンスセラピーの可能性について考察した。本稿では、ダンス必修化の意義を、武道必修化との関連に着目して考察した。「武道・ダンス必修化」の主は、「武道必修化」であり、ダンスは便乗必修化されたと結論付けた。「武道必修化」は、子どもたちに「愛国心」を植え付け、礼節を身に着けさせることを意図し、2012(平成24)年度に全面実施された指導要領では、実現しなかった「道徳の教科化」の代わりとして、全教科を通じて道徳心を教えるという流れの中、武道が必修化になったという経緯がある。「ダンス必修化」は、「武道必修化」実施を、政策上スムーズに軌道に乗せるための円滑剤的な役割や、心身の解放、ストレス発散としての場の提供を期待されている。それが表面上に現れた「ダンス必修化」の意図であると読み解くことができる。武道・ダンス授業を担当する教師各人が、武道・ダンス教育の歴史的変遷を理解し、その危険性をも認識した上で、武道・ダンス教育の意義を見いだすことが求められている。そういう意味で、教育史、体育・スポーツ史に携わる者が、未来の教育現場に貢献でき得る可能性は計り知れない。

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