保護, 展示そして再建 --台湾に残る日本統治期の宗教遺産--

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タイトル別名
  • Protection, Exhibition and Reconstruction : Japanese Colonial Religious Heritage in Taiwan
  • ホゴ,テンジ ソシテ サイケン : タイワン ニ ノコル ニホン トウチキ ノ シュウキョウ イサン

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抄録

19世紀末期, 下関条約によって日本が台湾を領有することとなった。これは日本にとって最初の海外植民地であり, 異民族統治でもあった。日本の統治権の施行, 人的流動, 商業活動, 布教, 教育などにより, 台湾社会に多大な影響を与えた。日本固有の宗教である神道もまた日本の統治とともに台湾に移植された。その一方, 日本仏教もまた神道と時を同じくして台湾に伝入した。本稿は, 日本統治期に台湾各地に伝入した日本の宗教の発展と戦後の状況を論じ, 続いて台湾に現存する宗教遺産の現状と文化財としての保護の実態を述べた。そして近年続々と出現した神社再建, 大鳥居復元および調査研究, 祭りの再現, 展示, 出版などの方式を通じて, 日本統治期の宗教遺産が文化財として保護, 展示, 再建される現象を詳述した。台湾社会における日本の宗教遺産に対する理解と対応は, 台湾同様「歴史問題」を抱える朝鮮半島, 中国および南洋群島など, かつて日本の植民支配, 委任統治を受けた国とは大きく異なる様相を呈している。本稿では日本統治期の宗教遺産保護に対する価値観の変化とそれにともなう動きを示した。

収録刊行物

  • 人文學報

    人文學報 108 21-34, 2015-12-30

    京都大學人文科學研究所

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