森敦の文学 : 境界論をめぐる考察

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タイトル別名
  • The Literature of Atushi Mori : Consideration of the Theory of Line

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抄録

森敦が提起した境界論を考察する。かつて龍樹は空を考察し、その実践方法として結跏趺坐を提起した。また、石津照璽は、第三領域を考察し、その実践方法として絶体絶命の生命的危機を提起した。宮澤賢治は、第四次を考察し、その実践方法として農業従事を提起した。筆者はこれまで石津照璽の第三領域、宮澤賢治の第四次を龍樹の空の読み替えと捉え、研究をおこなってきた。森の用語でいえば、空は現実である。現実は流動し、言語はそれを固定化させる。ここに本来の存在と認識に矛盾が生じる。ひとは存在として流動するものなのに、認識するにはそれを固定化するほかはない。森の境界論は、言語によって固定化された現実を、言語によって流動化させる方法である。森は、この方法によって、ほんとうの自己に到達しようと試みたのである。

収録刊行物

  • 年報人間科学

    年報人間科学 37 143-161, 2016-03-31

    大阪大学大学院人間科学研究科社会学・人間学・人類学研究室

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390572174758833664
  • NII論文ID
    120005704478
  • NII書誌ID
    AN0020011X
  • DOI
    10.18910/54582
  • HANDLE
    11094/54582
  • ISSN
    02865149
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • IRDB
    • CiNii Articles

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