経済理論と方法論的個人主義

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タイトル別名
  • Economic Theory and Methodological Individualism
  • ケイザイ リロン ト ホウホウロンテキ コジン シュギ

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抄録

本稿は, 社会科学の方法論としての「方法論的個人主義」が経済理論にとってもつ意味と意義について考察するものである。本稿は, 方法論的個人主義の起源, ならびに, その普及と展開の過程をふまえたうえで, 次のことを明らかにしている。(1) 「需要の理論」は, 消費者が(フライデーに出会う前の) ロビンソン・クルーソーのような孤立した主体であることを想定してはいない。(2) 「顕示選好理論」は, 消費者が社会的な存在であることを想定した理論である。(3) 「計量経済学」による実証分析の妥当性は, 方法論的個人主義の観点からも判断されるべきである。(4) 「ゲーム理論」がとらえているのは, 社会的な存在としての個人である。以上の考察をふまえて, 本稿は, 経済理論が個人の意思決定をその基礎におくことと経済理論が社会現象の解明を目的とすることは何ら矛盾していないことを示し, したがって, 経済理論に対する, 「方法論的個人主義にもとづいて, 個人の意思決定を理論の基礎に据えているがゆえに, 社会科学としての要件を欠く」という批判は有効ではないことを明らかにしている。

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