ホスピスに入院する終末期がん患者の家族の思いに関する研究

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タイトル別名
  • The perception of family of cancer patients at the terminal stage in hospice care unit
  • ホスピス ニ ニュウイン スル シュウマツキ ガンカンジャ ノ カゾク ノ オモイ ニ カンスル ケンキュウ

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抄録

本研究は、ホスピスに入院し患者に付添う家族の語りから家族の思いを明らかにすることを目的とし、ホスピスに入院する患者の家族5名を対象に半構造化面接を実施した。入院までの経緯やその後の経過とその際の思いを語ってもらい、文脈から分析者が気がかりに感じた語りを抜粋し客観的解釈学の方法を参考にして、その含意を読み取った。その結果、患者の身体状況に伴い、家族の思いには共通の変化がみられた。入院当初、〈治療の手立てが他になくても最良の環境を整えてあげたいと奔走〉したりく命に関わる決断に関わり、自分が仕向けたような罪悪感に駆られていた〉思いの間でく良かれと思って選択した病院であったにもかかわらず、もっといい選択肢があったのではないかと追求し続ける〉という思いにさいなまれ、【慈悲の念と罪悪感との葛藤】を抱き、苦悩していた。患者に顕著な身体症状がみられた時期は、〈家族として患者の苦痛を最小限にするために何かをしたい、何かをせずにはおれない〉という思い、すなわち【患者を守る覚悟と意地】となっていた。その後、小康状態が続き、徐々に意識が低下していく患者に付き添う時期には、【患者の穏やかな時間を与えられたものとして感謝する念】と【患者への敬意と残される者として生きる覚悟】が高まり、【自分自身の価値観と家族の絆の再認識】にまで至る様相が明らかになった。患者に付添う家族の語りからその思いを明らかにし、その含意を読み取ることで終末期がん患者の家族の変化する思いに沿った看護ケアが可能になる。

収録刊行物

  • 大阪大学看護学雑誌

    大阪大学看護学雑誌 17 (1), 25-33, 2011-03

    大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻

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