日本語における二重構造の示唆するもの ─日本語話者の<主観的把握>と表現性─

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Abstract

日本語話者は古来より<主観的把握>の傾向に基づき,現前の<見え>から非\n現前の<見え>を創出する<見立て>という表現手法を発展させてきた。<見立\nて>は和歌などの文芸に始まり,次いで視覚表現を中心に日本文化の様々な分野\nで採用されて,今日に至る。<見立て>は現前の<見え>と非現前の<見え>か\nら成る二重構造を持つ,表現志向的な手法であるが,日本語の文法形式にもこう\nした二重構造が観察される。その一例が「の」をめぐる認知的構造である。すな\nわち,「の」も現前の<見え>に着目し,そこから推論される非現前の<見え>\nを創出し,同時にそのような非現前の<見え>を生じる現前の<見え>へと注目\nを誘導する表現である。

Journal

  • 日本語日本文学

    日本語日本文学 (25), 29-40, 2015-03-20

    創価大学日本語日本文学会

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