資金循環を含むSAM based CGEモデルの構築 : 仮説データセットに基づくモデル構造の分析

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  • シキン ジュンカン オ フクム SAM based CGE モデル ノ コウチク カセツ データセット ニ モトズク モデル コウゾウ ノ ブンセキ

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抄録

本稿の第一のねらいは所得循環と資金循環を接合し社会会計行列(Social Accounting Matrix ; SAM)に記述、それを基に資金循環を含む計算可能な一般均衡(Computable General Equilibrium ; CGE)モデルを構築することである。モデルは以下の特徴を持つ。第一に各金融市場において内生的に決まる利子率によって、家計、政府、企業間で資金循環が変化する。第二にそれら主体はそれぞれ異なる内容の投資を行う。投資内容の差異を通じ、資金循環の変化が実物経済の生産活動に影響をもたらす。第三に前述の過程で決まる利子率は、財産所得の受け払いを通じ各主体の所得に影響を与え、家計では貯蓄率に作用する。モデルは変動為替相場制を採る一国軽済を対象にし、海外への貸出を通じ資本取引も開かれている。データはすべて仮説値である。ただし分析目的に即し、所得循環と資金循環のつながり、期首ストック、フロー、期末ストックを整合的に接続する。本稿の第二のねらいは公共設資の増加など外生的な変化が、モデルにおいて実物、金融の両取引を通じ各部門に影響をもたらすロジックを考察することである。上記のモデルでは、公共投資の増加は、金融市場において結合利子率の上昇をまねき、実物市揚において家計に貯蓄をより選択させた。相対的な利子率の変化により、家計は資金をより預金、公債保有にあて、事業債保有を減らした。金融機関が海外貸出金を減少させるため、為替レートは円高になった。

収録刊行物

  • 経済学季報

    経済学季報 58 (4), 1-67, 2009-03-20

    立正大学経済学会

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