中学生たちは,家庭科の保育・家族学習におけるロールプレイングを通して,何を学ぶのか? [in Japanese] What do Junior High School Students learn from Roleplaying in Child Care and Family Studies in Home Economics? [in Japanese]
Access this Article
Search this Article
Author(s)
Abstract
家庭科の保育・家族学習においては,多様な人々とよりよくかかわる力を育んでいくため,「人との関係性」が育成できるような学びの場を提供することが重要である。「人との関係性」の育成を学びの本質としたケアリング教育という観点からみると,家庭科教育においてケアリング教育を推進するためには,実践化の方法論を検討していくことが必要になってくる。そこで,本研究では,中学校家庭科の保育・家族学習において,「人との関係性」を育成するための学習方法としてロールプレイングを取り上げ,導入・実践し,ロールプレイングを通した生徒たちの学びを明らかにすることを目的とする。生徒たちの学びを読み解くにあたっては,松村康平の人間関係学において確立された理論と技法を援用した。なお,保育学習ではロールプレイングの授業を2時間行った後に,家族学習では1時間行った後,生徒に自由記述してもらい,そこから生徒の学びを読み取った。この自由記述の考察から,生徒たちがロールプレイングを通して,他者の立場や感情を受け入れ,自己や家族を客体化できるようになることがわかった。加えて,「人との関係性」の学びを言語化という手立てを通して,生徒たちが自覚的に捉えていることが示された。この学びの言語化は,教師にとっては,より効果的なロールプレイングの導入・実践のための有益な知見となる。以上の結果から,ロールプレイングの導入・実践は,学校の授業におけるケアリング教育の実践化という視点から捉えた場合の有効性が示唆された。
Journal
-
- 千葉大学教育学部研究紀要
-
千葉大学教育学部研究紀要 60(-), 259-266, 2012-03
千葉大学教育学部