幼児の遊戯行動の脳波的研究 : ダウン症児の場合

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  • ヨウジ ノ ユウギ コウドウ ノ ノウハテキ ケンキュウ ダウンショウジ ノ バアイ
  • The EEG during playing by young children with Down's syndrome

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抄録

子どもの精神的緊張を高めることを期待して, 遊戯場面を設定し, 彼らの行動を観察しながら, 脳波測定をおこない, 遊戯場面で子どもが興味と関心を強めるときの脳波的反応を明らかにしようとした。被験児としては, 注意集中に問題があると考えられている遅滞のあるダウン症児7名(5~7才)と統制群として健康幼児6名(4~6才), 成人4名(20~21才)である。結果としては, ダウン症児では遊戯場面で, 行動的にも活発で, 遊びに熱中する態度がみられた。そのさいには, 脳波的にも脳内の興奮の高まりを示す基礎波の抑制がみられた。統制群では, 年少児では, 同じく遊戯場面で脳波的に抑制傾向がみられたが, 中には, 遊戯場面と, 作業場面(特定の作業を課して, 被験者の興味に関係なく, 一定時間中, 同一作業を行わせるもの。ダウン症児にも実施したが, 行動的にも全く興味を示さず, 脳波的にも緊張的な反応は見られなかった)とで, 行動的にも, 脳波的にも, 大きな差がみられない例もあった。成人の場合には, 遊戯場面よりも, 作業場面で脳波が抑制的であった。その点, 成人の作業に対する態度が, 意志努力的という特定の態度であることが考えられた。これらの結果から, 年少幼児や精神遅滞児においては, 精神緊張, 注意集中のための場面の設定が必要であり, その設定条件が充分であれば, 脳の緊張状態を維持することができることを脳波的に確認できたと考える。今後, 臨床心理的に, 幼児の発達の場に応用的にこの種の研究を発展させることを期待している。

The purpose of this study is to observe the changes of behaviors and electroencephalograms of the mentally retarded children with Dow's syndrome in the playing situation. In order to make comparison with the playing situation where the subject could play with playthings as he liked, the mental - work-situation was also provided for every subject, where the subject was requested to work Kraepelin performance test. The mentally retarded children were much pleased in the playing situation and they played joyfully with toys or games, while they were not fond of work situation and disliked to work the performance test. The basic rhythms of their EEG were suppressed more in the playing situation than in the work situation. As the EEG suppression means the higher activities in brain, the playing proves to result in the higher mental acivities for the children. It would be expected that the findings are applied usefully to the education for the mentally retarded.

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