変容する都市の同和地区とその「都市下層」への編入について : 部落問題を階級・階層の視点からとらえなおすための一試論

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  • ヘンヨウ スル トシ ノ ドウワ チク ト ソノ トシ カソウ エノ ヘンニュウ ニツイテ ブラク モンダイ オ カイキュウ カイソウ ノ シテン カラ トラエナオス タメ ノ イチシロン

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1. はじめに : 「同和地区(部落)はなぜ貧しいのか」、このような問いが近年の部落問題研究の中心的な課題のひとつとなっているようだ。そしてこの問いへの答えを求めて多くの研究者によって理論的・実証的な研究が蓄積されつつもあるようだ。それ「にもかかわらず、その分析はまったく不十分である」と青木秀男はいう。そして青木はその理由として「ひとえにデータの不十分さに起因する。...分析の要点でデータが途切れる」と述べている。たしかにそうである。実証のためのデータの絶対的な不足は否定できない。しかしはたしてその「不十分」さの理由はそれだけだろうか。もしもそうであるとすれば、今後のさらなるデータの収集・蓄積や既存データの再分析、あるいは分析技法の洗練化・高度化、等々の努力や工夫によっていずれはこの問いへの答えがみつかるだろう。あるい逆にいえばはそのときまではその答えはみつからないということにもなるだろう。しかし、正直にいえば、私にはとうていそのようには思えない。なぜなら私はそもそもにおいて「同和地区はなぜ貧しいのか」というふうに問うことそのことが-その「問いの構造」そのものが-間違っているのではないのか、と思っているからである。……

Journal

  • 人権問題研究

    人権問題研究 15 5-41, 2016-03

    大阪市立大学人権問題研究会

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