光の子,新渡戸稲造

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タイトル別名
  • A Child of Light, Nitobe Inazou
  • ヒカリノコ,ニトベイナゾウ

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抄録

「輝かしい経歴」を有す新渡戸稲造が社会の片隅,暗闇に眼をそそぎ,そこでキリストの愛の働きをすすめる姿は奇妙,不釣り合いなもののようにも思われた。明治は「立身出世」をスローガンとし,「栄達」することを人間の幸福だと強く教えてきた。この時流のもとで,日本国家が奨励する「立身出世」を見事に果たし,多くの人々から尊敬され,「世界で輝く」人材として高く評価された稲造は「文明国家」日本の寵児,国民が範とすべきモデルになっていった。しかし,そうした「憧れの存在」の視点と関心は悲哀と苦悩の渦巻く処が「癒され」,そこで生きる人々が希望をもち,勇気をもって歩みだすことを支援するものであった。  こうした地味な活動へと積極的に関わらせる視点・エネルギー,信仰・思想などを「悲哀のキリスト」「クエーカー」「遠友夜学校開設」,また「聖書に綴られたユダヤの民のあり方,イエスの言行」などを用いて分析・考察・執筆した。

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