旧産炭地財政の財政社会学的分析 : 長崎県高島と北海道石狩地域を中心に

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  • キュウサン タンチ ザイセイ ノ ザイセイ シャカイガクテキ ブンセキ : ナガサキケン タカシマ ト ホッカイドウ イシカリ チイキ オ チュウシン ニ

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抄録

財政社会学の研究は、ゴルトシャイトによる創始以降、必ずしも後の研究者の強い関心を集めて来なかった。しかし、国内での地域社会学者による自治体財政の研究や、財政学者による地域社会と自治体財政の関係を対象とした研究は、財政社会学の要素を含んだ研究とみなすことが可能である。本稿では、これらの研究の成果をふまえ、租税制度(歳入)や予算編成(歳出)は財政を取り巻く様々なマクロ要因による影響を受けるという財政社会学の基本的視点に立脚しながら、同心円の形をモチーフにした財政社会学の分析枠組みの構築を試みる。これは、同心円における中心円の部分に自治体財政と地域社会との直接的な相互関係を配置し、その外側の円に様々なマクロ要因を位置づけるというものである。中心円の分析にあたっては、旧産炭地における財政破綻のメカニズムをフローチャートで示しながら、そのメカニズムの解析と地域社会内部での意思決定の分析とを合わせて行うという視点を提示する。そしてこの枠組みを北海道夕張市の事例に適用しながら、危機に瀕する自治体財政を立て直すための方法について考察する。そのうえで、現状を打開するためには、地域社会自身の努力はもちろん、国などが地域社会内での負の連鎖を食い止めるという視点からの支援を積極的に行っていく必要があることを指摘する。

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