「預金地」京都金融市場の形成過程 : 大正期の分析

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タイトル別名
  • The changing structure of financial market in Kyoto, 1912 1926
  • ヨキンチ キョウト キンユウ シジョウ ノ ケイセイ カテイ : タイショウキ ノ ブンセキ

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抄録

はじめに

第1次大戦ブームを背景に都市金融市場は急速に拡大したが、全国的金融市場が緊密化していく過程で、京都金融市場は他地域に資金を供給する「預金地」として全国的な資金循環に位置づいていく。本稿では、資料に「銀行局年報」および「大阪銀行通信録」を用い、大正期における京都金融市場の全体像を明らかにする。

京都が預金地となった主たる要因は、1910年代の預金争奪戦に成果を上げた有力銀行が、預金額を年々増やす一方で1920年恐慌を機に貸出の抑制に転じ、自行の本支店間分業体制における預金吸収店舗としての役割を京都支店に与えていったことである。一般に、地域経済にとって資金流出は成長の制約要因となるが、都市経済史の視点からは、大都市でありながら独自の展開をたどった京都の事例は注目に値する。

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