J.S.ミルおよびマルクスの機械論 : ─補償説への考察をもとに─

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  • J.S. ミル オヨビ マルクス ノ キカイロン : ホショウセツ エ ノ コウサツ オ モト ニ
  • J.S.ミル オヨビ マルクス ノ キカイロン : ─ホショウセツ エノ コウサツ オ モトニ─
  • J.S.Mill and Marx on the Effect of Machiney

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抄録

J.S.ミルはリカードウ機械論の論理を踏襲する一方,商品への需要は労働需要とは別として,機械導入に関する補償説に対する独自の批判を展開していた。にもかかわらずマルクスは,リカードウについては当初の補償説的な立場を撤回したことを高く評価する一方,J.S.ミルについては補償説論者の一人として批判の対象に挙げている。本稿では,マルクスがあえてJ.S.ミルを補償説論者とみなした理由を検討する。まずJ.S.ミルは機械導入による雇用排除の可能性において,リカードウよりも結論が後退していることが認められる。また生活手段が存在すれば,流動資本として機能し,雇用手段になること,そして再生産される生活手段量が増加し,雇用が拡大しさえすれば労働者にとって利益となることを論じた点で,J.S.ミルは補償説と見解を共有していた。後者の点はリカードウにも部分的に共通しており,マルクスのJ.S.ミル批判についてはその政治的意図を指摘する見解もある。しかし本稿ではマルクスにとってJ.S.ミルは古典派批判の文脈において理論的に乗り越えるべき存在であったことを指摘する。

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