回復期脳卒中患者の蓄尿症状の実態と日常生活動作、うつ状態との関連

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  • Relation between the actual conditions of storage symptoms, activities of daily living and the state of depression on stroke patients in the recovery phase

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抄録

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背景:回復期脳卒中患者の3~5割は、脳損傷による排尿抑制の遮断から、橋排尿中枢の排尿反射が生じやすくなる。Tibaek Sらは、蓄尿症状を有する脳卒中患者は、急に起きる抑えきれない尿意や頻尿による心理的負荷から歩行能力の改善が妨げられる可能性を指摘した。しかし、蓄尿症状が病的状態であることをふまえ、回復期脳卒中患者を支援してきたとは言い難い現状から、蓄尿症状の主訴と排尿機能と動作、排尿に対する患者の心理反応を定量評価し、ケアチームで支援することが重要だと考えた。そこで今回は、回復期脳卒中患者の排尿に対する心理反応尺度の開発に向けた基礎調査として、回復期脳卒中患者の蓄尿症状の実態と日常生活動作の自立度、心理反応はうつ状態に注目し、蓄尿症状との関連を明らかにすることにした。 方法:回復期リハビリテーション病棟の脳卒中患者120名の基本属性、蓄尿症状、日常生活動作自立度、うつ状態を調査した。蓄尿症状と基本属性、日常生活動作自立度、うつ状態との関連は、Spearmanの順位相関係数で検討した。 結果:対象集団の92.5%が蓄尿症状を有していた。蓄尿症状と年齢、罹患期間、特異症状、日常生活動作の自立度、うつ状態との間に有意な相関を認めた。なかでも、尿意切迫感、切迫性尿失禁の度合が重度であるほど、排尿に関連する更衣、トイレ動作と移乗、排尿管理の自立度は有意に低下した。うつ状態とも、中程度の相関関係を認めた( p<0.01)。頻尿と日常生活動作自立度、うつ状態は、一部を除き、統計学的に有意な関係はなかった。 結論:多くの回復期脳卒中患者は蓄尿症状を有し、尿意切迫感、切迫性尿失禁と日常生活動作の自立度、うつ状態との間に有意な相関関係を認めた。看護職者は、ケアチームの一員として、脳卒中による排尿機能、日常生活動作、心理反応の変化を速やかにとらえ、支援することが求められる。

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