知恵の挫折:神学の不可能性と懐疑の復活

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タイトル別名
  • The Miscarriage of Sapientia:The impossibility of Theology and the revival of Skepticism
  • チエ ノ ザセツ : シンガク ノ フカノウセイ ト カイギ ノ フッカツ

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抄録

120006342809

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13世紀も後半になると神学者たちは、強まりゆく理性主義に対して、学問としての神学の確実性を示さなければならなくなった。そこで彼らの多くが採った理論は知性認識の根底においては神が働いているとする証明説であった。だがそうなると、知性認識に形象は不要ということになり、また知性は個々の事物を直接的に把握できるとする直観説になる。その結果、次第に神学は、個物のみが存在するとする唯名論に傾くことになった。だが現実の人間に認識できるのは感覚できる個物だけだから、神についてはいかなる知識も不可能ということになる。その結果、ただ信仰のみが主張されるようになり、宗教改革と教会分裂の悲劇を招くことになった。  1章ではトマスが採用した抽象説とそれが秘める困難について説明される。  2章ではヘンリクスの折衷説とそれがもたらす困難について説明される。  3章では個物こそ事物の完成であると説いたスコトゥスの学説が説明される。  4章ではスコトゥスを否定したオッカムの唯名論により神学が不可能になったことが説明される。  5章ではオッカムがもたらした敬虔主義とその破局である宗教改革そして懐疑思想の復活が説明される。

収録刊行物

  • 紀要

    紀要 11 33-86, 2017-03-31

    名寄市立大学

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