間伐とシカ排除柵設置がスギの幹成長に及ぼす直接的・間接的影響 : 芦生の未間伐スギ人工林における事例

書誌事項

タイトル別名
  • Direct and indirect effects of thinning and deer exclosure on stem growth in Cryptomeria japonica : A case in Japanese cedar plantation with delayed thinning in Ashiu
  • カンバツ ト シカ ハイジョ サク セッチ ガ スギ ノ カン セイチョウ ニ オヨボス チョクセツテキ ・ カンセツテキ エイキョウ : アシセイ ノ ミカンバツ スギ ジンコウリン ニ オケル ジレイ

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抄録

間伐やシカ排除柵の設置を,立地環境が悪く,間伐が遅れているスギ人工林において検討した事例は見当たらない。このようなスギ人工林では間伐の効果がほとんどない可能性があり,また,シカ排除柵の設置は下層植生の増加を通じてスギの直径成長を間接的に抑制するかもしれない。そこで本研究では,間伐とシカ排除柵がスギの定期直径成長量および下層植生の植被率・群落高に及ぼす効果を芦生研究林にある未間伐の40年生スギ人工林で調べた。間伐試験では,定期直径成長量は間伐区で有意に大きくなっており,40年生の未間伐スギ人工林でも間伐は残存木の直径成長を促進することが示された。下層植生の植被率と群落高は間伐の有無で違いはほとんどなく,間伐が下層植生の変化を通じてスギの成長に及ぼす影響はよくわからなかった。シカ排除試験では植被率と群落高は柵内で有意に大きくなっていたが,柵内外の定期直径成長量の違いは認められなかった。下層植生の植彼率・群落高が大きくなるにもかかわらずスギの直径成長量が抑制されない原因はよくわからなかったが,少なくとも間伐後3年目の時点では,シカ排除柵の設置はスギの直径成長を抑制しないことが示唆された。

収録刊行物

  • 森林研究

    森林研究 (79), 1-9, 2016-01

    京都大学フィールド科学教育研究センター森林生物圏部門

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