落葉広葉樹の個葉の光合成特性と樹冠部の光合成機能 (特集:地球の炭素循環と一次生産)

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抄録

摘要:冷温帯葉落広葉樹の光合成生産機能を、森林を構成する高木の機能を樹冠レベルで評価するとともに、ギャップ更新稚樹や低木層構成樹種の光合成特性を基礎に考察した。山火再生林樹冠部の光合成特性は、林冠層をやや越えた高さ24 mの樹冠観測タワーを用いて測定した。上層木の開葉と共に林床へ到達する光量は減少し、落葉とともに増加した。また、CO2 濃度の垂直変化は、風のない日中に樹冠部位では約320 ppmまで低下し、夕方には林床付近で約560 ppmに達した。高木層の開葉は雪解けの約1週間後から始まり、樹冠基部から先端に向かって進行した。シラカンバやケヤマハンノキなどの散孔材樹種の開葉が早く、ハリギリやヤチダモなどの環孔材では約2週間遅かった。初夏には全ての樹種の樹冠部位での光合成速度は高かったが、真夏には樹冠のやや内部に位置する葉の光合成速度が最高であった。落葉が始まる初秋には先駆種であるシラカンバとケヤマハンノキの光合成速度は高かったが、全体としては樹冠部位での光合成速度に樹種間の差はなかった。樹冠下部の葉では集光機能を代表するクロロフィルb 量が多く、また、窒素のクロロフィルへの分配量も多かった。林床では上層木の葉が展開して林冠が閉鎖する前に葉を展開し終える樹種や、上層木が落葉しても葉を保持し降霜まで緑葉を維持する樹種が存在した。林床に生育する稚樹では、光飽和での光合成速度(最大光合成速度)は大きな年変動を示した。この原因として、春先の乾燥により厚く小さな葉が形成されることが考えられ、葉内部でのCO2 拡散抵抗が最大光合成速度を律速することが示唆された。窒素は最大光合成速度と高い正の相関を持つことから、非破壊で同一葉の機能を推定できる窒素計測器を導入することによって樹冠全体の光合成生産を非破壊で推定できる。

収録刊行物

  • 地球環境

    地球環境 9(2), 191-202, 2004

    国際環境研究協会

各種コード

  • NII論文ID(NAID)
    120006370622
  • NII書誌ID(NCID)
    AN10569309
  • 本文言語コード
    JPN
  • 資料種別
    特集
  • ISSN
    1342226X
  • NDL 記事登録ID
    7177130
  • NDL 雑誌分類
    ZM41(科学技術--地球科学)
  • NDL 請求記号
    Z15-B107
  • データ提供元
    NDL  IR 
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