<特集論文 2>動物の毛皮を剥いで着るということ -- 北ハンティの毛皮衣服着用の審美性と神聖性
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- 大石, 侑香
- 日本学術振興会特別研究員・東北大学東北アジア研究センター
書誌事項
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- Pealing the Pelt of Animals and Covering the Body with Fur: the Aesthetics and Sacredness of Fur Wearing in Northern Khanty
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抄録
本稿は、西シベリア・タイガ地帯に居住するハンティという民族集団の防寒機能以外の毛皮の選択理由を明らかにするために、毛皮衣服の装いに関する物質文化と精神文化の両面を描くことを目的とする。毛皮は人間の衣服素材として防寒機能に優れており、それを理由に北方民族らが毛皮を着用していると考えられてきた。しかし、西シベリアでは工場製の防寒着にとってかわらずに未だ毛皮衣服が選ばれている。人間が生きている他の動物を殺しその皮を剥いで着用するということには何らかの精神性が働いているとみなし、とくに動物の毛皮への審美性や神聖性に着目し、以下の三つの課題に関して、現地調査データをもとに具体例をあげながら考察していく:1. 生業複合と世帯内分業の事例をあげ、自然環境を最大限利用した生業活動の上に現在の毛皮衣服文化が成り立っていることを確認する、2. 毛質・毛色の多様な家畜トナカイの毛皮利用の事例をあげ、トナカイ毛皮に対する審美および毛皮になったトナカイと人との関係を明らかにする、3. 動物観と毛皮衣服に対する価値観の差異と一致を明らかにする。結果として以下の三点が確認できた。ひとつ目に、生業活動と世帯内分業、地域的な毛皮の交換関係の中に毛皮衣服の作成活動が埋め込まれた形で行われていることが毛皮衣服着用の理由のひとつとなっていることを確認した。二つ目に、トナカイ毛皮衣服においては天然/人工の模様が際立つような強い白色と黒暗色のコントラストに審美性を見出していることが分かった。三つ目に、特定の動物の神聖性は毛皮になった後も連続していることを確認した。神聖であるが毛皮を利用したいという矛盾を緩和するように、特別神聖なクマやネコ、イヌの毛皮については、一部あるいは全部の利用を禁じて他の大部分の利用を許すという思考方法があった。
収録刊行物
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- コンタクト・ゾーン
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コンタクト・ゾーン 9 (2017), 304-330, 2017-12-31
京都大学大学院人間・環境学研究科 文化人類学分野
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1050282810828719744
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- NII論文ID
- 120006373927
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- NII書誌ID
- AA12260795
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- ISSN
- 21885974
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- HANDLE
- 2433/228326
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- departmental bulletin paper
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- データソース種別
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- IRDB
- CiNii Articles
- KAKEN