〈原著〉当科における広汎子宮全摘術(ロボット支援下手術,腹腔鏡手術,開腹手術)の各アプローチ法による比較検討

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  • Comparative study of extensive hysterectomy in our department by approach: Robot-assisted surgery, laparoscopic surgery, and open surgery

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抄録

[抄録]目的:内視鏡下広汎子宮全摘術には腹腔鏡下広汎子宮全摘術とロボット支援下広汎子宮全摘術が含まれ,現在先進医療として限定された施設で導入され始めている.当科ではこの2つの内視鏡下術式について倫理委員会の承認のもと先進医療導入前から施行してきた数少ない施設である.今回われわれは内視鏡下広汎子宮全摘術を,同時期に行った開腹術と比較検討し,当科で経験した合併症や治療特性から導入と先進医療の普及にあたっての注意点について検討を行った.対象と方法:ロボット支援下広汎子宮全摘術(以下ロボット)は7例施行し,腹腔鏡下広汎子宮全摘術(以下腹腔鏡)は9例施行した.また同時期に行った開腹術32例を比較検討した.検討項目は年齢,BMI,手術時間,出血量,摘出リンパ節個数,術後在院日数の平均値の比較と輸血率,周術期合併症について比較検討した.また,ロボット支援下広汎子宮全摘術の詳細についても同時に検討した.結果:ロボット,腹腔鏡,開腹術での比較で,平均手術時間でロボットは他の2群より有意に長時間手術であった.また平均出血量では開腹術が他の2群より有意に多かった.また平均摘出リンパ節個数は,開腹群で他の2郡と比較して有意に多く摘出された.また平均術後在院日数は開腹術が他の2群より有意に長期の入院を必要とした.年齢,BMI,輸血率,周術期合併症に差は認めなかった.また,ロボット支援下広汎子宮全摘術の周術期合併症は2例であり,ともに尿路合併症であった.結論:内視鏡下手術は開腹術と比較し低侵襲であったが,摘出リンパ節個数が少なく,手術時間が長く,今後の課題と考えられた.また,ロボット支援下広汎子宮全摘術では過度の広汎性を追求しすぎた結果起こったと考えられる尿路系合併症を2例経験し,導入初期では注意が必要と考えられた.

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