<博士学位論文要旨>独居高齢者における被援助志向性に関する研究

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タイトル別名
  • A Study of help-seeking preferences among the elderly living alone

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抄録

本研究では特に独居高齢者の持つ被援助志向性に焦点を当てた5 つの研究を実施し、主として以下の3 つの成果を得た。第1 に、高齢者における被援助志向性を測定する尺度の作成を行ったことである。先行研究からはこれに該当する尺度が確認できなかったため、研究Ⅰから研究Ⅲを通じて、高齢者用被援助志向性尺度を作成した。第2 に、独居高齢者における被援助志向性の関連要因の検討を行ったことである。研究Ⅲおよび研究Ⅳでは、高齢者用被援助志向性尺度の各下位尺度得点を従属変数とする重回帰分析を行った。その結果、「援助に対する欲求」と「援助に対する抵抗感」の両者に影響を与える要因として、研究Ⅲでは暮らし向き、研究Ⅳでは学歴が認められ、暮らし向きが良いほど、また学歴が高いほど援助に対する欲求と抵抗感の両者を低減させる結果となっていた。第3 に、独居高齢者へのインタビューを通じた高齢者用被援助志向性尺度の妥当性と関連要因の検討を行ったことである。独居高齢者6 名に対するインタビュー調査の内容分析を行った結果、全員の高齢者用被援助志向性尺度の下位尺度得点の高低と、実際の援助に対する考え方がほぼ一致していることが示唆された。以上の成果は、今後さらに増加することが見込まれる独居高齢者に対する身近な人物、あるいは公的機関などによる援助の在り方を検討する上で大きな意義を持つと考えられる。

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