第69回東邦医学会総会 企画特別講演 老年期女性の大腸癌・乳癌とエストロゲン

書誌事項

タイトル別名
  • キカク トクベツ コウエン ロウネンキ ジョセイ ノ ダイチョウ ガン ・ ニュウガン ト エストロゲン
  • 69th Annual Meeting of the Medical Society of Toho University Project Special Lecture Estrogen and cancers of the colorectum and breast in postmenopausal women

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抄録

type:TOHO University Scholarly Publication

総説

近年,本邦では老年期女性の大腸癌や乳癌の増加が著しいが,両者ともエストロゲンとの関係が注目されている.エストロゲンは大腸癌を抑制するという報告が多いが,逆の報告も少なからずある.大腸粘膜にはエストロゲン受容体β(estrogen receptor beta:ER-β)が発現されているが,大腸癌におけるER-βの役割についての病理学的あるいは分子疫学的報告も多い.閉経後女性大腸癌とエストロゲンの間には密接かつ複雑な関係が示唆されている.閉経後乳癌の多くはエストロゲン依存性で,末梢のエストロゲン代謝・合成が病態上重要である.閉経後乳癌に対する現行の標準的内分泌療法はアロマターゼ阻害剤(aromatase inhibitor:AI)だが,全身エストロゲンレベル低下による副作用が懸念される.高齢者には組織型,内分泌学的性状とも特殊な乳癌が多く,特殊性を考慮した臨床的対応が望まれる.閉経後の体内エストロゲン状態は食生活に影響されるので,草の根レベルの大腸癌・乳癌予防対策が期待される.

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