腹腔鏡下子宮全摘術後に腟断端部からMycoplasma hominisによる上行性感染が考えられた1例

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  • Mycoplasma hominis infection from vagina after total laparoscopic hysterectomy: A case report

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抄録

Mycoplasma hominis(以下M.hominis)は泌尿生殖器領域における常在菌であり、産婦人科の術後感染症の原因菌として症例報告が散見される。今回、腹腔鏡下子宮全摘術に腟断端部よりM.hominisによる上行性感染と考えられた症例を経験した。症例は45歳、子宮筋腫のため腹腔鏡下子宮全摘術を行った。子宮を経腟的に細切搬出を行い、その際、腟入口部から円蓋部に至る腟壁裂傷を生じ縫合修復した。術後にCMZ(セフメタゾール)を投与したが、術後2日目より発熱と腹痛が出現し、術後4日目にWBCは正常範囲内であったがCRPの上昇を認め、ABPC/SBT(アンピシリン/スルバクタム)に変更した。しかし、症状の改善なく、術後第8病日に、β-ラクタム系の抗菌薬が無効なことやCRP優位の炎症反応高値などの特徴からM.hominis感染を早期より積極的に疑いCLDM(クリンダマイシン)に変更した。当院の腟培養では陰性であったが、他院に腟培養検体を送付しReal-time PCR法を使用することでM.hominisが同定された。CLDM使用後からは臨床症状の速やかな改善を認め術後12日目に退院した。術後感染の原因としてM.hominisによる腟断端部/裂傷縫合部からの上行性感染が考えられた。

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