Na, K-ATPase活性の基質阻害に対するバルビツール酸系薬物の作用

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  • The effects of barbiturates on substrate inhibition of Na, K-ATPase activity

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抄録

バルビツール酸系薬物の作用機序は,GABAA受容体への作用を除き,不明な点が多い.Na, K-ATPaseは神経細胞の興奮性の維持を担う酵素であり,バルビツール酸系薬物の作用に関連する可能性もあると推測される.しかし,バルビツール酸系薬物のNa, K-ATPase活性に対する報告は少ないので,ラット及びウサギ脳ミクロソームのNa, K-ATPaseを使用し,本研究を行った.バルビツール酸系薬物として,pentobarbital, phenobarbital及びthiamylalを使用した.Na, K-ATPase活性のATP濃度依存性を測定すると,2.5 mMで最大活性を示し,5 mMATPでは基質阻害により活性は低下した.5 mM ATP存在下では,pentobarbitalとphenobarbitalはNa, K-ATPase活性を濃度依存的に促進したが, 2.5 mM ATP存在下ではその作用は認められなかった.すなわち,pentobarbitalとphenobarbitalには基質阻害を抑える作用が認められた. Thiamylalは5 mM あるいは2.5 mM ATP存在下のいずれの場合もNa, K-ATPase活性を抑制した.5 mM ATP存在下では,pentobarbitalとphenobarbitalはNa, K-ATPaseのNa+に対する親和性を増加させ,K+に対する親和性を減少させた.これらの結果は,基質阻害下では,pentobarbitalとphenobarbitalはNa, K-ATPaseの構造をE1型に変化し,ATPに対する親和性を増加させることにより活性を促進することを示唆した.

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