経営とガバナンスから見た食の安全 : 日本・中国・韓国の比較  [in Japanese] Securing Food Safety From the Viewpoint of Corporate Management and Governance : Comparison of Japan, China and Korea  [in Japanese]

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食の安全は,ミクロからマクロまで,個人,企業,社会というそれぞれのレベルにおける食に関与する各主体のリスク管理の対象であり,コーポレートガバナンスやコンプライアンスの立場から企業のリスク管理の一環としてとらえることも必要である.一般には,例えば金融機関のリスク管理とは随分と異なっているように考えられるが,食と金融の類似点は少なくない.いずれも規制業種であること,また,リスク管理に失敗すると社会的な影響が大きいこと,さらには,犯罪やテロの標的となりやすいといったことも共通する.金融機関の巨額損失事例を見ると,リスクは現実には複合したかたちをとりやすく,単純または厳格な区分にはなじまないこと,また,損失の原因はさまざまであるが,巨額損失は,「無知・誤解等によりリスク認識がない,または低い」ために起こったケースが多く,事例の大半は,運用担当者への依存度,チェック機能・能力,経営陣の判断,事務管理体制に問題があったといえる.また,隠そうとすることでかえって損失が拡大したというケースも多い.「リスク認識はあったものの隠蔽工作等によりリスク管理が機能しなかった」ために損失が拡大したことがわかる.食の安全に関しても同様のことが考えられる.食の安全においても,製造・流通にかかわる企業が最終的な責任を負い,不祥事が発生した場合に補償するというシステムを,法制度と社会的手段で担保する必要があり,責任主体たる事業者の果たすべき役割は大きい.また,生活様式の変化にともなって,消費者が口にする食品も未加工(生鮮)品や加工品から調理品,さらには外食や宅配へと変化しており,事業者の責任範囲は拡がっている.一方,具体的なリスク管理の方策については国ごとに大きく異なっている.四川の食品の製造現場を視察した際,コンプライアンスの担保のために他社と相互チェックを行うという,日本では考え難い対策を採っていた.食の安全に関しても,ガバナンスやコンプライアンスが重要な切り口となる.中国・韓国の食品の判例を調べると,個人のモラルの低さが目立つ.また,同じ企業が何度も繰り返し問題を起こしていることや,他社が世間から批判される状況を見て自らの不祥事を隠蔽しようとするといったことも観察された.コンプライアンスが形式的な次元に留まっているとも考えられた.食のリスク管理に関してはGDP が少なからず影響しているといわれるが,今後,どのように中国・韓国の食の安全が担保されていくのかは興味深い.

Journal

  • 経済学季報 = The Quarterly journal of Rissho Economics Society

    経済学季報 = The Quarterly journal of Rissho Economics Society 67(2・3), 73-109, 2017-12

    立正大学経済学会

Codes

  • NII Article ID (NAID)
    120006465596
  • NII NACSIS-CAT ID (NCID)
    AN00069955
  • Text Lang
    JPN
  • Article Type
    departmental bulletin paper
  • ISSN
    0288-3457
  • NDL Article ID
    028847123
  • NDL Call No.
    Z3-187
  • Data Source
    NDL  IR 
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