心理的瑕疵物件の民事執行上の課題 : 主観的な被害の対応をめぐって (大倉正雄教授 大谷博愛教授 小林一秋教授 清水洋二教授 退職記念号)  [in Japanese] Issues in civil enforcement Law of psychological defects  [in Japanese]

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Abstract

本稿は,心理的な要素という主観面を捉えて,私法上の効果を認めている心理的瑕疵の問題について,民事執行の場面,すなわち,不動産競売において問題となった自死物件等の裁判例を分析するものである。一般に訴訟では,主観的な利益について抑制的に判断している一方で,自死物件等の売買や賃貸借において問題となる心理的瑕疵の問題場面では,損害賠償をはじめ,手厚い保護がなされている。そして,不動産競売の場面においても,その社会的事実の重要性が明確であることから,多くは不動産競売の売却決定の取消しを認めている。一方で,主観的利益をどのように認定・評価するかは,執行官による現況調査の限界もあることから,国家賠償が認められる余地は少ない。しかし,民事執行上の問題として大きなハードルではあるとしても,安易に買受人の負担とするのではなく,執行官は,現況調査を含めて,出来る限り,当事者の知ることのできる情報となるよう関係者と協力し,その情報を明らかにする必要がある(高度の注意義務)。本分析により,心理的瑕疵概念のように抽象的なものであっても一定の社会的な事実と指標の存在によって裁判上の考慮は可能であり,それは執行の場面においても妥当するが,心理的瑕疵に対応するための柔軟な手続の再考も必要である。このことは,心理的瑕疵に関する問題を超えて,主観的利益の位置づけを明確にすることでそれに基づく権利実現も可能になることを示しており,その他の事例にも応用できるのではないかと考えられる。

Journal

  • 政治・経済・法律研究 = Politics, economics and law

    政治・経済・法律研究 = Politics, economics and law 20(2), 143-162, 2018-03

    拓殖大学政治経済研究所

Codes

  • NII Article ID (NAID)
    120006466364
  • NII NACSIS-CAT ID (NCID)
    AA11314866
  • Text Lang
    JPN
  • Article Type
    departmental bulletin paper
  • Journal Type
    大学紀要
  • ISSN
    1344-6630
  • NDL Article ID
    029075463
  • NDL Call No.
    Z71-C219
  • Data Source
    NDL  IR 
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