顔認知メカニズムの発達による変化

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タイトル別名
  • Developmental Age-related Changes in the Face Perception Process
  • カオ ニンチ メカニズム ノ ハッタツ ニ ヨル ヘンカ

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抄録

脳波は、時間分解能が高く、体動などによる制約が少ないので、いろいろな認知メカニズムの発達による変化を検討する研究に有用である。この総説では、今まで筆者らが脳波を用いて行ってきた顔認知メカニズムの発達による変化に関する研究を紹介する。 正立した顔、倒立した顔、目に対する脳活動の発達による変化では、8 ~ 13 歳の小児を各年齢で検討した。8 ~ 11 歳では、幅広くピークを複数持つ顔認知に関連する脳活動成分(N170 成分)がみられたが、12 ~ 13 歳では、幅が狭く1つのピークを持つものであった。年齢ごとに、正立した顔、倒立した顔、目に対するN170 成分を比較したところ、8 ~12 歳までと異なり、13 歳で、正立した顔に対するN170 成分の活動時間が一番短く、目に対する活動時間が一番長くなっていた。正立した顔に対する脳活動は、13 歳で成人のパターンに達することが示された。 表情の変化に対する脳活動の発達による変化では、7 ~ 10 歳、11 歳~ 14 歳、成人の各群で検討した。7 ~ 10 歳では、笑いや怒りの表情の表出に対する脳波成分が大きくなった。一方、成人では、7 ~ 10 歳、11 ~ 14 歳と異なり、笑いという正の感情の表出に対する脳波成分が大きくなった。表情の変化を認知する際の脳活動のパターンは、14 歳の時点では、成人のパターンに達していないことが示された。 筆者らの研究から、顔の持ついろいろな情報の種類によって、その情報の認知メカニズムの発達による変化は異なる可能性が示唆された。

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