米中貿易摩擦の深層に隠れた次のヘゲモニー競争-次世代中心産業の競争を中心に-

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  • ベイチュウ ボウエキ マサツ ノ シンソウ ニ カクレタ ツギ ノ ヘゲモニー キョウソウ : ジセダイ チュウシン サンギョウ ノ キョウソウ オ チュウシン ニ

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抄録

2018 年に入ってから,順調に回復する世界経済を脅かす大きな出来事は現れ, 米中貿易摩擦の勃発である.本稿は,この「突然」勃発した米中貿易摩擦を正面 から立ち入って分析することを目的としない.そのかわりに,米中貿易摩擦の深 層に隠れた原因を究明することを目的とする.つまり,(1)われわれの目に映さ れた米中貿易摩擦は,アメリカの抱える国際収支アンバランスの問題であるか. そうでなければ,(2)米中貿易摩擦を勃発させた深層の原因は何であるか.本稿 の分析によって下記の点が明らかにされた.中国は現在,アメリカからヘゲモニー を奪う力を持っていないが,ヘゲモニーとしての一部のハードパワー(貿易力)を すでに獲得した.世界の次のヘゲモニーをめぐる競争は,すでに米中間に展開し ている.米中間のヘゲモニーをめぐる競争は,守勢のアメリカと攻勢の中国とい う様相を示す.米中逆転阻止はトランプ政権の既定方針と至上課題である限り, たとえ短期的に貿易戦争が回避されたとしても,中長期的に米中間の次世代中心 産業の技術主導権の争いや経済覇権の争奪は不可避と見てよい.

収録刊行物

  • 経済学季報

    経済学季報 68 (1), 1-44, 2018-07-31

    立正大学経済学会

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