ジェフスキー≪「不屈の民」変奏曲≫におけるテーマと36の変奏曲の分析と考察

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タイトル別名
  • Frederic Rzewski’s The People United Will Never Be Defeated!Analysis of the Theme and 36 Variations
  • ジェフスキー《「不屈の民」変奏曲》におけるテーマと36の変奏曲の分析と考察
  • ジェフスキー 《 「 フクツ ノ タミ 」 ヘンソウキョク 》 ニ オケル テーマ ト 36 ノ ヘンソウキョク ノ ブンセキ ト コウサツ

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抄録

本研究の目的は、アメリカの作曲家・ピアニストであるフレデリック・ジェフスキーの≪「不屈の民」変奏曲≫の楽曲構成を理解し、テーマと36の変奏曲の分析をしながら、シンプルな歌の旋律を複雑な現代曲に変奏していく過程を明らかにすることである。また、各変奏曲の多面的な探究を通して、曲に込められたメッセージが楽曲にどのように表現されているかを考察する。原曲の「不屈の民」はチリの民主化運動の時にセルヒオ・オルテガによって作曲された革命歌である。ジェフスキーはこの曲のメロディをテーマとして、36のピアノ変奏曲としてまとめた。楽曲構成としては、異なる音楽的特徴を持つ変奏曲が第1~第5ステージまで発展し、第6ステージではそれまでのすべての要素を要約していることが確かめられた。また、各変奏曲の分析結果から、サイクル5以外の変奏曲は三つの共通した音楽的特徴、①短2度と完全5度のモチーフ、②半音階や全音階のバス進行、③五度圏の調の動き、を持つことが分かった。本研究の結果から、三つの音楽的特徴が様々な要素を結びつける役割を果たし、巧みな変奏技法で長大な曲を一つに統合する過程を検証することができた。ジェフスキーはこれらのテクニックを使って、様々な人々が集まり、対立や衝突を経て団結し、新たな権力に抵抗していく姿を音楽で見事に表現したと言える。日本の演奏家や聴衆にとって、本研究がジェフスキーや彼の作品を理解するための一助となることを期待する。

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