生命領域におけるスケール概念に関する研究

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タイトル別名
  • A study of the scale conception in the biology field
  • セイメイ リョウイキ ニ オケル スケール ガイネン ニ カンスル ケンキュウ

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抄録

本研究では,「様々なもののスケールを把握し,それをもとにして,他のもののスケールを推定すること ができるような概念」をスケール概念として定義づけ,これらのスケール概念に含まれる絶対的スケール概 念と相対的スケール概念について整理し,小・中・高等学校理科を学んできた者がこれらのスケール概念を どの程度構築できているのかの調査を行うことによって,小・中・高等学校理科の生物領域における学習内 容の系統性について検討していった。その結果,小・中・高等学校の理科学習を通じて,生物学における スケール概念を自然と獲得していくのは,困難を極めることが明らかとなった。さらに,一部の学習者は, DNA を実体のないものとして捉えている傾向があることも伺えた。また,赤血球は実際より小さく捉えて いることや,葉緑体を実際より大きく捉えていることから,どの倍率でどのくらいに見えたかという認識を もつ学習者は多くないと考えられる。したがって,観察・実験を行う際にも,顕微鏡で見えた大きさと倍率 からどれくらいの大きさであるかを求めさせたり,大きさがある程度わかっているものを観察する際にどれ くらいの倍率で観察するのが適切かを考えさせたりする活動などを行うことで,絶対的スケール概念の構築 を促すことができるのではないかと考えられる。また,様々な理由から観察が不可能なものにおいては,モ デルやアナロジーを有効に活用していくことで,そのものの実体やスケール感をつかむことの一助になるの ではないかと考えられる。

福岡教育大学紀要. 第四分冊, 教職科編

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