<論説>漢代の家族とその労働 : 夫耕婦績について

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タイトル別名
  • <Article>Family Labor in the Han Period 漢代
  • 漢代の家族とその労働--夫耕婦績について
  • カンダイ ノ カゾク ト ソノ ロウドウ フ コウフセキ ニ ツイテ

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抄録

「夫耕婦績」は、太古以来の社会通念であって、とくに儒家独自の思想と言う訳ではなかった。しかし、漢代に至り、儒家の進出とともに、この「夫耕婦績」の理念が押し進められ、社会の末端にまで浸透するようになる。「夫耕婦績」の通念を儀式化したのが、文帝の治世より始まる「藉田親桑」の儀礼である。皇帝が籍田の儀礼を、皇后が親桑の儀礼を執行し、天下の夫婦男女に対して労働の在り方を示そうとしたのである。つまり、家族内部では、性別による分業がおこなわれ、男が耕作を、女が採桑、養蚕、紡績、機織及び裁縫など一連の仕事を分担する。漢代にあっては、女性労働にもとづく布帛の類が正規の課税として徴収されたり、あるいは布帛を以って租税に代えたとする事例は見当らない。魏晋以降の税制は、この「男耕女績」をふまえて成立しており、理念としては夫 (男) から租を、婦 (女) からは調を徴収することを意味し、夫婦の労働によって完結する。

収録刊行物

  • 史林

    史林 62 (3), 329-349, 1979-05-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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