<論説>元朝の商業政策 : 牙人制度と商税制度

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タイトル別名
  • <Article>The Commercial Policy in Yuan 元 Dynasty : The System of Ya-jen 牙人 and the System of the Tax on Commerce
  • 元朝の商業政策--牙人制度と商税制度
  • ゲンチョウ ノ ショウギョウ セイサク ガジン セイド ト ショウゼイ セイド

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抄録

宋明間における商業史の展開に元朝が果した役割を検討する手段として、本稿は牙人制度と商税制度をとりあげ、元朝商業政策の基調を考察する。牙人は宋代、有力な商品流通の担い手として時には市場を支配しうるほどに成長したが、元朝は流通を阻碍するものとしてこれに強い統制を加えた。官私牙人制の導入がそれである。この制度は、民間牙人の業種を立契を要する売買(土地家屋家畜など) のみに限定して普通商品の売買から排除した上、さらに営業には官許によって官牙たることを必要とした制度である。つまり普通商品を扱う牙人は私牙として非合法化されたのである。次に商税制度をみると、商税は販売地納入の1ー30税へで、宋明と異なり通過税がなかった。財政上とくに商税に期待しないこの制度は客商優遇策といえるものであった。以上から、元朝は大都の経済の維持のため江南からの遠距離流通を促そうとし、流通の主体を牙人でなく客商に求めたと考えられる。

収録刊行物

  • 史林

    史林 64 (2), 185-213, 1981-03-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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