<論説>幕末期の幕府の朝鮮政策と機構の変化

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タイトル別名
  • <Articles>The Policy of the Tokugawa Government toward Korea and the Reorganization of the Government System during the Last Days of the Tokugawa Regime
  • 幕末期の幕府の朝鮮政策と機構の変化
  • バクマツキ ノ バクフ ノ チョウセン セイサク ト キコウ ノ ヘンカ

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抄録

本稿は、近世から近代への転換期である幕末期における日本の対朝鮮外交を検討する試みで、幕府の朝鮮政策の展開過程とその性格、機構上の改編の変化に重点をおいた。まず、政策の面では、文久三年から元治元年前半期までの朝鮮服属政策の継続推進、元治元年後半期に至ってのその政策の見直し、そして朝鮮服属政策のながれを汲む慶応三年の朝鮮開港交易政策という、一本化のものではなく多少の変化の過程を辿ったと見た。さらにその朝鮮政策の決定過程に老中板倉勝静が深く関わってきたことに注目した。またこの時期に、従来のものとは形を異にする幕府機構上の改編(朝鮮問題専任老中の誕生、外国事務総裁による朝鮮外交取扱、以酎庵の廃止に代わる幕府官僚の直接派遣) が行なわれたことを明らかにした。こうした幕府による日韓外交関係の改編は、朝鮮服属(征韓) 外交の下に、日朝外交一元化の方向性を示すものであり、従来の前近代的東アジア外交から欧米的外交への転換を目指そうとするものであったと理解した。

収録刊行物

  • 史林

    史林 77 (2), 256-286, 1994-03-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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