<論説>清代後期における重慶府巴県の寺廟と地方社会 : 『巴県档案』寺廟関係档案の基礎的考察 (特集 : 祈り)

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タイトル別名
  • <Articles>Temples and Local Society in Ba County, Chongqing Prefecture during the Late Qing Period : A Fundamental Study Centered on Ba County Archives (Special Issue : PRAYER)
  • 清代後期における重慶府巴県の寺廟と地方社会 : 『巴県档案』寺廟関係档案の基礎的考察
  • シンダイ コウキ ニ オケル ジュウケイフ トモエ ケン ノ ジビョウ ト チホウ シャカイ : 『 トモエ ケントウアン 』 ジビョウカンケイトウアン ノ キソテキ コウサツ

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抄録

中国近世の「祈り」の空間は、都市や農村の社会構造と関連してさまざまに論じられてきた。ただ民衆レベルの信仰は史料が絶対的に乏しいうえ、知識人の批判的な視点に基づく内容で、実態を知ることが困難である。本稿では民衆レベルの声を拾い上げられる貴重な「生」の史料として档案史料の可能性を探ってみたい。今回利用する『巴県档案』は清代後期の重慶府巴県の行政公文書であり、そのなかに多くの寺廟関係の史料がある。ここから、日常において地方官がどのような態度で寺廟に臨んでいたか、あるいは民衆がどのように寺廟に関係していたのか、社会的空間としての寺廟の実態を明らかにしうる。また『巴県档案』は一八世紀以降、二〇世紀まで連綿と残されていることから近世・近代の過渡期を映し出す史料という位置づけもでき、一九世紀半ば以降に顕著となる新しい宗教運動についても『巴県档案』は豊富な史料を残している。これらの史料の考察を通じて、日常的な「祈り」の空間を解明する基礎を構築したいと考える。

収録刊行物

  • 史林

    史林 98 (1), 103-142, 2015-01-31

    史学研究会 (京都大学大学院文学研究科内)

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