<論説>一九世紀中葉フランス植民地拡大における海港都市マルセイユ商人の役割 (特集 : 海)

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タイトル別名
  • <Articles>The Role of the Merchants of Marseilles in Colonial Expansion of the Mid-19th Century (Special Issue : SEA)
  • 一九世紀中葉フランス植民地拡大における海港都市マルセイユ商人の役割
  • イチキュウセイキ チュウヨウ フランス ショクミンチ カクダイ ニ オケル カイコウ トシ マルセイユ ショウニン ノ ヤクワリ

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抄録

本稿は、マルセイユ商人に焦点を当て、一九世紀中葉のフランス帝国主義を、国策だけでなく商人・海軍・政府の三者関係を通した動きと捉えることで、商人が植民地拡大に果たした役割を検証する。一八三〇年のアルジェリア植民地化は、マルセイユ商人を大西洋貿易に参加させる契機となった。彼らは、石鹸の油脂材を求めて西アフリカのギニア湾に進出し、市場を積極的に開拓したが、第二帝政期における海洋覇権戦略に基づく植民地政策の変更やイギリスに対する弱腰外交など、政府のギニア湾への対応は、マルセイユ商人の貿易存続を危うくするものであった。このような政府の姿勢にもかかわらず、マルセイユ商人がギニア湾で貿易活動を継続できたのは、現地の貿易保護を担っていた海軍との繋がりがあったからこそである。こうした商人と海軍の政府への働きかけこそが、その後の植民地拡大の重要拠点となるギニア湾の保有に成功した一つの要因であると推察する。

収録刊行物

  • 史林

    史林 100 (1), 40-73, 2017-01-31

    史学研究会 (京都大学大学院文学研究科内)

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