アルタイ諸言語の場所表現における名詞的性格について

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タイトル別名
  • On the nominal nature of locational expressions in Altaic languages
  • アルタイ ショ ゲンゴ ノ バショ ヒョウゲン ニ オケル メイシテキ セイカク ニ ツイテ

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抄録

本稿は、アルタイ諸言語の場所を示す語の名詞的/文法項的な性格について、3つの言語からエリシテーションによりデータを集め、その結果を日本語とも対照しつつ考察するものである。対象とする言語は、アルタイ諸言語のうち、ツングース諸語からはナーナイ語を、モンゴル諸語からはモンゴル語ハルハ方言(以下では単に「モンゴル語」と呼ぶ)を、チュルク諸語からはトルコ語を取り上げることにする。なおモンゴル語は梅谷(2008)の方式により翻字した。本稿は大きく第1部と第2部に分かれている。第1部では主に場所を示す語以外の語の場所性について検討する。具体的には、場所の指示詞や疑問詞の名詞的/文法項的性格と、人間や物の場所化の必要性の有無について調べる。すなわち「ここはどこ?」のような表現が可能かどうか、「私のところへ来て!」と言わなければならないか、それとも「私へ来て!」のような表現が可能か、という問題である。第2部では逆に「前、後ろ、上、下、中、外、間、横」など、相対的な場所を示す語の名詞的性格を問題にする。すなわち、日本語の「前」は「~の前に」のように、前の名詞に属格を要求し、それ自身は格をとるなど、きわめて名詞的な性格を示すのだが、他の言語でも上記のような意味の語が同じように名詞的な性格を示すのかどうかを検討する。実際には、アルタイ諸言語のこうした意味の語には、日本語に比べると(特に語によっては)完全に名詞的な性格を示さず、かなり副詞的/後置詞的な性格を示すものがある。なお第2部ではこのような語を「場所語」と呼ぶことにする。

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