国立大学法人における教員評価の取組状況 : アンケート調査結果の分析を中心として

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  • コクリツ ダイガク ホウジン ニ オケル キョウイン ヒョウカ ノ トリクミ ジョウキョウ : アンケート チョウサ ケッカ ノ ブンセキ オ チュウシン ト シテ

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抄録

本稿は、国立大学法人における教員評価の取組状況について整理し、成果や課題を明らかにするものである。その検討方法として、教員評価に関する先行研究を整理し、国立大学法人における教員評価の取組事例を紹介したうえで、2018年6月に86国立大学法人における大学評価担当課に対して、教員評価に関するアンケート調査を依頼し分析を行った。アンケート調査の目的は、国立大学法人における教員評価の取組状況や成果、課題をまとめ、大学自らが実施する評価制度を検証することで、今後の制度改善の参考にするためである(調査主体は筆者(岩崎))。アンケート調査の結果、以下の状況が分かった。ほとんどの国立大学法人が教員評価を実施するなかで、「教育・研究活動の促進」を教員評価の目的に掲げる法人が9割あり、教員評価の実施効果として「教員の意識改革」をあげた法人が7割あった。しかし、「教員の意識改革」以外に目立った効果はなく、制度の実施に伴う負担や、制度設計やシステムに関わる課題をあげる国立大学法人の割合が高かった。教員評価を実施する国立大学法人の8割が第1期中期目標期間(2004~2009)より実施し、多くの法人が制度実施より10年前後を経過している。教育研究への効果が薄いことや、様々な課題が示されている状況より、教員評価の制度改革の必然性は高いと考える。今後の課題として、教員評価を含めた自己点検・評価システムを定期的に検証し、内部質保証に十分に寄与する制度に転換していく必要がある。

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