名古屋大学タンデトロンAMS 14Cシステムの現状と利用(2018)

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  • Status and Applications of a Tandetron AMS System at Nagoya University in 2018

抄録

名古屋大学宇宙地球環境研究所では,1997年3月に完置されたHigh Voltage Engineering(HVE)社製Tandetron (Model4130-AMS)が放射性炭素(14C)測定に運用されている.イオン入射部にリコンビネーターを備えて,炭素の3種の同位体が同時に測定でき,導入された当時は14C測定において高性能を誇っていた.しかし,今になるとる14Cしか測定できない事が利用拡張の妨げになっている.同研究所は,2016年度から,「全国共同利用・共同研究拠点」に認定されており,「拠点」の重責を担っていくうえで,本装置は,特色のある,非常に重要な装置の一つと位置付けられている.2015年10月に年代測定総合研究センターから宇宙地球環境研究所へと組織改編された後,この装置のさまざまな故障が一挙に吹き出したが,これらの問題は,新研究所の理解と支援によりほぼ解決できた.2018年の1年間に発生した主な故障や保守作業を以下に示す.(1)試料の測定中に加速器から出力される炭素正イオン強度が次第に低くなった.5年ぶりに加速器タンクをオープンして点検したところ,加速器のターミナル部に設置されているターボ分子真空ポンプを駆動する発電機にメカニカルに動力を伝えるタイミングベルトが破断しているのが確認された(2018年1-2月).(2)イオン源の分解洗浄,アイオナイザーの交換,Cs1gを充填(2018年6月末).(3)エアコンプレッサーの故障と交換(2018年7月末).(4)14C測定のルーティンの立ち上げにおいて,12C^3+,13C^3+は通常どおりの電流値を示すが,重イオン検出器での14C^3+の計数が全く無くなった.その原因として,検出器の直前にあるファラディ・カップをビームラインに出し入れするエアシリンダーの軸とファラディ・カップの軸受けのネジが緩んでおり,ファラディ・カップがビームラインに挿入されたままになっていた.(2018年8月初旬).(5)装置制御用のプログラムがときおり停止し,またパソコンがフリーズするようになった.ハードディスクをサーバー用の製品に交換した(2018年8月末).このような故障にもかかわらず,2018年には1345個のターゲットの測定を実施できた.

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