左派ポピュリズムと不服従の知

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タイトル別名
  • サハ ポピュリズム ト フフクジュウ ノ チ
  • The Wisdom of Disobedience in Left Populism

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抄録

われわれは理性やコミュニケーションを中心としたモデルを超え,デモをはじめとする〈直接行動〉一般を必要とする時代に生きている。ラクラウとムフは,近年注目されている左派ポピュリズムを民主主義的な左翼運動の嫡子として評価し,偶発的かつ戦略的な節合によって新自由主義への対抗勢力を構成することを目指している。ムフの立場は,ハーバーマスや熟議民主主義を批判して「敵対性」を重視するもので,同様にウォルツァーも,理性外的な政治動員を重視した思想を展開している。直接行動は「非暴力的」であることが求められるが,暴力との境界を打ちたてるのは難しい。むしろウォール街の運動に見られるように,警察の暴力に対し「不服従」の姿勢で対峙する運動は,それがより広範な人民の「代表」であるという立場を守りながら,そのつど「非暴力的」とされる戦術を練り上げなければならない。その意味で,直接行動とは代議制民主主義以上に「代表性」に敏感でなければならず,「不服従の知」としての戦術が反省的に蓄積されてゆかねばならない。

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