関西方言における素材待遇形式の分布 : 読みがたり昔ばなし資料を手がかりに  [in Japanese] The Distribution of Japanese Honorifics in the Kansai Dialect : Based on an examination of a corpus of folktales  [in Japanese]

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Abstract

関西方言は、敬語が盛んであるとされる西日本の中でも、特にその使用が活発な地域である。その関西方言の敬語に関しては、敬語運用の特質を指摘した宮治(1987)など、他の地域方言では報告されていない特有の現象を捉えた先行研究がいくつかある。しかし、それらの先行研究の指摘からのみでは関西方言の素材待遇形式や特徴的な運用の分布がどのようになっているのかを捉えることは難しい。そこで、本稿では、『読みがたり各県のむかし話』シリーズを用いて、これらの点を明らかにすることを試みた。 分析の結果、関西方言においては素材待遇形式の分布だけでなく素材待遇形式をどの程度用いるかということも地理的連続性の中で捉えられることを示唆する結果が得られた。すなわち、和歌山県を除く関西方言で主に使用される上向きの素材待遇形式の多くはハルであるが、丹後地方ではナルのみが使用されるなど、地域差がある。一方で、有標の素材待遇形式をどの程度使用するのかについては、京・山城から湖南~湖北にかけての地域で有標形式の使用率が高く、東海道および北陸道沿いの地域的な連続性が認められ、湖西・丹波・丹後といった隣接する地域で同程度の使用率を見せる。また、各府県で共通して用いられる素材待遇形式の待遇価は共通しているが、その運用法は異なり、本稿では京都方言と大阪方言のハルを例に、京都は三人称指標機能を大阪は対象を上位者として待遇する機能をそれぞれ有していることを示した。本稿で述べた結果は、地理的に連続する異なる方言間の影響関係や地域特性(中井2012)を考える上で示唆に富むものであると考えられる。

Journal

  • 阪大日本語研究

    阪大日本語研究 (31), 1-15, 2019-02

    大阪大学大学院文学研究科日本語学講座

Codes

  • NII Article ID (NAID)
    120006631770
  • NII NACSIS-CAT ID (NCID)
    AN10106606
  • Text Lang
    JPN
  • Article Type
    departmental bulletin paper
  • Journal Type
    大学紀要
  • ISSN
    0916-2135
  • NDL Article ID
    029666219
  • NDL Call No.
    Z12-809
  • Data Source
    NDL  IR 
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