カナダの先住民族中等後教育政策における先住民族大学
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抄録
本稿の目的は、「先住民族大学」の制度的枠組みと実態を、カナダ連邦政府の施策との関わりから明らかにすることにある。現在、連邦政府が先住民族大学を直接の助成対象としている施策は、2013年度に設置された「中等後教育パートナーシップ事業」である。これ以前には、1989年から2013年まで「インディアン学コース支援事業」が設置されていた。本稿は、インディアン学コース支援事業から中等後教育パートナーシップ始業への移行過程を跡付けることをとおして、先住民族大学にとって中等後教育パートナーシップ事業がどのような制度的特質を有するのかを考察した。その結果、1)インディアン学コース支援事業には、中等後教育における先住民族自治の仕組みが存在したこと、2)中等後教育パートナーシップ事業は、連邦政府の「経済行動計画」の一環として策定されたこと、3)中等後教育パートナーシップ事業は、先住民族大学の支援を目的とするものではないこと、4)インディアン学コース支援事業から中等後教育パートナーシップ事業への移行の過程で、先住民族の教育自治に対する破壊が進行したことを明らかにした。以上を総じて、連邦政府の中等後教育制度は、先住民族大学の存立基盤を揺るがすものであるとの結論を得た。
収録刊行物
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- こども学研究:こども発達臨床センター紀要
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こども学研究:こども発達臨床センター紀要 8 32-46, 2016-03-31
鹿児島純心女子大学こども発達臨床センター
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1050001202672092544
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- NII論文ID
- 120006648097
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- NII書誌ID
- AA11862726
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- ISSN
- 13482173
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- journal article
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- データソース種別
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- IRDB
- CiNii Articles