<雲南懇話会からの寄稿>日本人にとって山とは何か --自然と人間、神と仏--

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タイトル別名
  • <Contribution from the Yunnan Forum>What is the Mountain for Japanese People: Natue and Men, Kami and Buddhas

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抄録

山岳信仰を中心として日本人にとって山とは何だったのかを歴史的な観点から考察した。最初に仏教と山岳信仰の出会いの記憶を伝える開山伝承を検討し、神と仏が山岳を結節点にして変容してきた諸相を考えた。神仏習合は、奈良時代に始まったが、平安時代中期の本地垂迹の思想の浸透で日本の山の神は権現と呼ばれ、700年以上の神仏混淆の時代が続いた。しかし、明治維新の神仏分離で山岳信仰は根本的に覆った。2018年は明治維新150年で同時に神仏分離150年である。山岳信仰は、山中他界観を根源に持ち、農耕民や狩猟民に支えられ都市でも展開した。日本は世界でも稀な長い山岳登拝の歴史持つ。山の多義的な機能と意味を知ることは日本人の精神文化の見直しに繋がる。近代に発生したアルピニズムは近代化の中で100年ほどの歴史しかない。遥拝から登拝へ、そして登山と観光の対象になった山は、世界遺産の指定や山の日の制定でさらに変化しようとしている。劇的な変動の時代にあたって、山の歴史と意味を改めて問い直す時が訪れている。

収録刊行物

  • ヒマラヤ学誌

    ヒマラヤ学誌 20 54-62, 2019-03-28

    京都大学ヒマラヤ研究会; 京都大学霊長類学・ワイルドライフサイエンス・リーディング大学院; 京都大学ヒマラヤ研究ユニット

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390572174800744064
  • NII論文ID
    120006652995
  • NII書誌ID
    AN10392447
  • DOI
    10.14989/hsm.20.54
  • HANDLE
    2433/242970
  • ISSN
    09148620
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • IRDB
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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